福井金融界の覇王破綻
 

九十二銀行休業続報 (2)

 

●第九十二銀行整理の成行

整理中の福井第九十二銀行にては其後神戸の乾新兵衛氏との問に銀行譲渡の交渉略々纏まりしを以て十一月十三日臨時総会を開き整理案として
(一)現在の財産一切を拾弐万五千円にて債権者に譲渡すこと
(二)右の内貯蓄預金以外の債権者に二割五分、貯蓄預金者に四割三分の割にて弁済し残余は債権の放棄を請求すること
(三)本年十月十四日の臨時総会に於て決定せし一株五十円の払込期日は応援者と本契約締結の上重役に於て直に通知すること
(四)未払込株金四万円に対しては此際資本減額の処分を為すこと
(五)債権者及応援者に封する交渉は絶て重役及整理委員に一任すること
の五項を議決せり、然るに乾氏との交渉は其後如何なる動機に依りてか、全然不調に帰し、同銀行は再び途方に迷ひつつありと云ふ
(「銀行要録」明治四十一年十二月第二七八号)

●第九十二銀行整理後報

福井第九十二銀行は前号所報の如く(第二七九号)百三十、十二、福井、森田、大和田の五銀行にて整理中の所、其後勝山銀行が突然貸付金三千円の取付命令を出したるより、右五銀行は同銀行に対し一時其猶予を交渉せしに之に應ぜざるを以て五銀行は最早整理の途なしとし一旦手を引かんとしたるも其後円満に解決せられしを以て一月二十八日株主総会継続会を開き監査役選挙其他株金払戻の議案を可決し、勝山銀行より交渉顛末の報告ありし後、改めて整理委員七名相談役二十名を選拳し更に整理に着手せり
(「銀行要録」明治四十二年二月第二八十号)

●九十二銀行の整理

福井市九十二銀行は久しく整理行悩の姿なりしが整理委員の尽力により此程来、各債権者及預金者に対し債務の二割を償還し残余猶予せんことの交渉中なりしが、今同漸く其承諾を得たるを以て、整理委員は更に中村福井県知事の紹介にて京都電燈会社社長大澤善助氏に援助を依頼し同氏の斡旋にて新に七萬円の借受成立し、三月十六日頃より順次二割の償還をなす筈なりと云ふ
(「銀行要録」明治四十二年三月第二八一号)


●第九十二銀行預金支払

福井市第九十二銀行にてほ、過般決定せる整理案に基き、三月十日より預金の二割を払戻すこととなり、同二十日迄に一段落を告げたるが、支払総金額は六万七千六百八十五円にして人員三千八百六十二名なり
(「銀行要録」明治四十二年四月第二八二号)
 

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注1:掲載にあたり一部句読点を補充、また旧字体を新字体に一部置換しております
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